その町を訪れたのは2019年の旧正月が明けてまもない2月。
上海から新幹線とタクシーで5時間以上かけて、ようやく「碧山」の町にたどり着くことができた。
祭の後の赤い残骸がなければ、この町はもっと寂れて感じるのかもしれない。くすんで灰色がかって見える白壁と幾重にも積み重なった青黒い瓦の町並みに、色という色は見当たらなかった。
それゆえか、衣類や、札、装飾品などの赤がよく目につく。
この国で見つける赤い何かは、その一つ一つがそこで暮らす人々の鼓動のように思えてならない。
日本にはない、古き良きアジアの源流に触れたくて訪れたはずにも関わらず、滞在するうちにここが「かつて」の姿を留める町なのか、それとも「いつか」たどり着く町なのか、境界が曖昧になってくる。
その浮動する感覚の中で写し留めた営みの痕跡だけが、僕の意識をかろうじて「いま」につなぎとめているのだった。

協賛｜ 修美社

会場 ｜センティード

住所 ｜604-8187 京都市中京区笹屋町445日宝烏丸ビル1F　>Google Map
1F Nippo Karasuma bldg., Sasaya-cho, Nakagyo-ku, Kyoto

Open : 9/17-10/17 7:30-17:30 (8:00-17:30 on Sat. Sun. National holidays)
Closed: 9/26, 10/3, 10/10
Tel: 075-741-7439