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IN BETWEEN EASTS
フレデリック・メリー|Frédéric Mery

パリ出身のフレデリック・メリーは、主にフォトジャーナリストとドキュメンタリー写真家として活動しています。パリのソルボンヌ大学で法律を専攻し、卒業後は長年興味を持っていた写真の道へ進むことを決意。彼は現在、もっとも緊急の課題である環境と社会の問題に焦点を当てている。彼はまた、写真には親密に時間をかけるプロセスが必要であり、それが素晴らしい写真となる鍵だと考えている。
彼はインターナショナルフォトエージェンシー”ハンス・ルーカス”のメンバーでもある。アメリカから北朝鮮、旧ソ連のほとんどの共和国を訪れるなど、ドキュメンタリー写真への情熱は、彼を世界中へと向かわせた。2019年9月、新たな写真の地平を求め、日本に移住。現在は京都に在住。

© Frédéric Mery

- Statement -
ソビエト連邦崩壊後、ヨーロッパの東側諸国は複数の小国へと散らばったが、そのうちのいくつかの国家はようやく西側諸国の民主主義の理想に近づこうとしているところだ。モルドバは1991年にその門を通り独立を宣言したが、それ以来、2つのブロックの板挟みになることとなった。ウクライナとロシアに挟まれ東側に座しているモルドバ。その2つの大国間で近年発生した政治的混乱により、ドニエプル川を間に挟んだモルドバ側は恐怖に陥れられている。1994年以来、モルドバはモスクワによってトランスニストリアという広大な土地を直接監督下に置かれており、そこには現在1500人のロシア兵が駐屯している。90年代以降、モルドバ国家から離脱してロシアに半ば忠誠を誓っている地域が増えていることで、EU欧州連合加盟を目指す党派の間では不安が広がっている。多くのモルドバ人から西側諸国への統合に成功したと見なされている隣国のルーマニアとは異なり、モルドバでは、このような忠誠はEUへの加盟における大きな障害と見なされている。ロシアとウクライナの狭間ではある特異な人々が暮らしており、日々苦難を強いられている。ソビエト連邦の瓦礫の中で暮らし希望を失っている若者たちや、90年代にかつてあった希望が失われていくのを見守る年配者たちだ。この写真集では、彼らの日常生活に焦点を当てている。そこは、東欧でもなくウクライナでもなければ、ロシアでもない。複数の「東」の狭間に置かれていることから、このフォトエッセイの名前は「In between Easts」【代案:東と東の狭間で】となっている。


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