ヒロシマ・グラフ - 永遠の流れ|Hiroshima Graph - Everlasting Flow
藤井ヨシカツ|Yoshikatsu Fujii
1979年広島県生まれ。東京造形大学で映像を学んだのち、2006年より写真制作を開始。社会問題に纏わる歴史や記憶を主なテーマとして制作に取り組んでいる。離婚した両親と自身との関係をテーマにした作品「Red String」は、2014年に少部数限定の手製本による写真集として発表された。同書はパリフォト・アパチャー財団写真集賞などにノミネートされたほか、米タイム誌をはじめとする2014年のベスト写真集の一冊に選出されるなど注目を集めた。 2015年以降は故郷の広島に拠点を移し、長期的な調査プロジェクト「ヒロシマ・グラフ」の制作に取り組んでいる。
© Yoshikatsu Fujii
- Statement -
広島を拠点とする作家は、街に高層ビルが建ち並び、被爆者が少なくなってしまった現在、原爆投下の爪痕を感じることが困難だと思念している。
作家は、今まで誰にも語られなかった家族の歴史を知るため祖母に被爆体験を聴いた。ほんの些細なことが人間の生死を分け、祖母はかろうじて生き残ることができたことを初めて知った。ところが自分が助けることができたかもしれない人たちのことを語る祖母の顔には、重く暗い陰りの表情が浮かんでいた。
作家は本作を通じて、1945年8月6日祖母の身に何が起き、彼女がその後の人生をどう生き、作家の世代にどう繋がっているのかを考察し、家族の大切な歴史として形に遺す。