EN

NEGATIVE ECOLOGY
吉田 多麻希|Tamaki Yoshida

兵庫県生まれ。コマーシャルフォトグラファーとして活動しながら2018年より作品を製作している。身近に生きる生物や自然の姿をサーモグラフィーカメラで捉え、生物の息吹を可視化させた1作目[sympathetic resonance]でキャノン写真新世紀優秀賞を受賞。現代の問題や自然と生物への敬愛をテーマに、リサーチと共に実験的で抽象的な表現方法で作品を製作している。現在は東京を拠点に活動。

© Tamaki Yoshida

- Statement -
本プロジェクトは、作家自身が行ったフィルムネガ現像で生じた失敗に、人間の日常生活が野生動物や自然界に侵食していく様を連想したことをきっかけに始まった。現像の失敗によるネガのムラは、まるでそこに写っている野生の鹿の世界を侵食する脅威のように思えた。大きな環境破壊の影に隠れているが、日常生活の中から排出される化粧品や洗剤などの化学薬品は、気づかぬうちに自然界に蓄積し影響を与えているのではないか、と作家は考えた。
作家は、日常的に排出する洗剤・研磨剤・化粧品などを現像液に混ぜ、フィルムネガを現像した。出来上がったネガフィルムは毒々しくも美しいと作家は感じた。そこには、化学薬品とは切っても切れない現代人の生活と自然が関わる先の、悲劇だけではない新たな共存の姿が表れているのではないかと作家は考える。


< 前の作家

次の作家 >